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ぼくの(リアル)なつやすみ 2005 その1

■2005/08/14(Sun.)■

焼肉丼。 10時前に起きたら、すでに帰っていたメンツがチラホラ。まだ夢の中の住人たちのために、昨夜の残り物で焼肉丼を作る。ついでに洗いものも。起き出してきたexit君から「生活力あるなぁ」というお言葉をいただきました。いやァ、場数ですバカズ。BAKA's。10年1人暮らししてたら、このくらいはできなくっちゃ。

 半寝半起きの連中もモゾモゾ起き出してきた。僕は焼肉丼だけではちょっとオナカが心許なかったので、帰省前に相方が買ってきてくれていた「ありえねー。」カップラーメンも食す。

 結局、14時を回っての出発。JRの駅が近いとこういう時に便利だ。JRも阪急も、両方徒歩圏内って、考えてみれば関西住人にとってすっげぇ好立地なんだな。

 京都駅でアッチ&彼女さんと別れ、僕とexitくんは東海道・山陽本線へ。exitくんは乗車前に、旅日記ノートを新調するという気合いっぷり。僕は地道に京ぽんにプチプチと乗り換えタイムスケジュールを転記。

 網干・岡山で乗り換えて、アッという間に尾道でした。18きっぷというと、どうも東京に行くイメージが勝手に身に付いていて、「18きっぷ=8時間!」という先入観があったのだけどそんなわけはないのだ。

 尾道駅は、海岸の目の前だった。その海岸の向こうには、島が見える。ひっきりなしに渡船が往復している。尾道という街に関する僕の知識は「なんだかよく映画に出てくる場所&ラーメン」程度のもので、その地形も位置関係もまったくよく分かっていなかったのだけども、こうしてみうとなるほど今回の旅で僕が山陰説をしきりに唱えていた頃からの「港町に行きたい」というテーマからハズれていない。exitくんのセレクトたるや、GJというほかはない。

 尾道経験者である彼の後ろにヒョコヒョコついていき、宿屋街まで。途中、駅からさほど遠くない場所に古ぼけて廃業してしまっている映画館が。入り口がタイル貼りでなかなかレトロな感じです。『駅馬車』とか『第三の男』とかやってそうな雰囲気ですが、はがし忘れたポスターは、『パール・ハーバー』。メチャクチャ最近やんけ。つい数年前まで、この昭和イズムなシアターはバリバリ活動しとったわけですか。尾道上陸後10分にして、すでにこの街が持つ「何か」にパックリ食いつかれた感じが。

 ビジネス旅館に部屋を取る。一泊4000円也。なぜか「1」のボタンが逆さまで、なおかつ管理用パネルの扉が全開のエレベーターや、非常用はしご、その名も「オリロー」がむき出しのまま放置されている部屋とか、何かとパラダイスな匂いのプンプンする旅館。部屋の窓からは、尾道水道を挟んで日立造船のクレーン・ライトアップが真正面に見える。ライトアップの塗り分けがスゴイ。1基1色。照り返しで、隣の基に色移りとかせんのか?

逆さま&全開。 オリロー。

ネオン。

 荷物を置いて、飲屋街に繰り出す。とにかくビールとサカナサカナ、ということで、こざっぱりした居酒屋で生ビールと刺身の盛り合わせを注文した。フト見回すと周りはファミリー&カップルばかりだ。しまった、こういう時はもっと勇気を出して「濃さ」のにじみ出ている店を選ばないと面白くないじゃないか!別にその店は特別マズイ!だとか不快だ!ということは決してなかったのだけど、こういう店なら京都にだっていくらでもある。

翌日撮影。 仕切りなおし!とばかりに次に向かったのが、これまたさっきとは打ってかわって対照的な店。アーケード商店街の一角にあり、カンバンには確かに「うどん」と大書してあるにも関わらず、外からのぞくとどうみたって酒瓶しか並んでいない。なんとなく学園祭の模擬店風な、手作り感あふれる店構えも、何かを語りかけてきます。

 ドアを開けて中に入ると、背中に壁がくっつきそうなほどのカウンター席が一列。その一番奥に、中小企業社長風のオッチャンがすでに顔を赤らめてゴキゲンと化している。左隣には、そのお連れさんとおぼしきオネエさん風。マスターは沖縄風のマッサオなTシャツを着たお兄さんで、歳は僕らとあまり変わらないのではないだろうか。とりあえず冷えた純米酒と焼酎、ツマミにチーズの盛り合わせを注文し、再度のカンパイ。僕が注文した純米酒は、たまたまですが新規封切りということで、なんだかちょっと得をした気分。ラムレーズンのチーズが意外と日本酒に合う、ということを初めて知った。もう、最初のコンセプトである「港町」だとか「地魚を食う」とかいったことは押し入れの奥に片づけてしまい、呑みに徹する。

 色々と話していると、マスターも元々尾道の人ではないらしい、ということだった。旅好きで、日本中あちこちフラフラしてきたのだけれど、たまたま立ち寄った尾道に瞬間的にハマってしまい、それ以来旅といえば尾道にしか来なくなってしまったのだそうだ。そしてついに会社も辞めてドドンと引っ越してこられたのだト。おりしも讃岐うどんブームの頃で、それに乗じてうどん屋を始めたのが、この店の興りらしい。なるほど、それで表のカンバンに。見ると、カウンターの中には確かにめんゆで釜がある。が、そこも酒瓶置き場となって、うどん屋の名残は残っていない。

 新しい客がやって来た。奥の中小企業社長風と、オネエさんから「先生」と呼ばれているツルッぱげの陽気なおじさんは、この辺りの美術系大学で染織を教えておられるらしい。おまけに歳を感じさせない壮健さで、しょっちゅうしまなみ街道をチャリで爆走しているそうだ。今日もちょっとひとっ走りしてきたところだという。

 明日から僕たちも四国を向けて爆走の予定なので、レンタルサイクルや、道程についてアレコレと教えてもらった。奥の社長は、すでにベロンベロンになっていて、僕らが京都から来た、というと「京都〜オーハラ三千院〜♪」と、そこばかりを何度も何度もしつこく歌っていた。

 また新しい客が来た。1人は着席するなり、年代物の14インチ・テレビで流れているマラソン番組に見入ってしまってこちらには参加して来られないのだけど、常連さんのようである。もう1人、まだ「少年」というような容貌のコが1人、入店するなりスルリとカウンター内に入っていき、勝手に冷蔵庫からビールを出してグイグイやりはじめた。「就職決まんねっすよー!」と半ばヤケクソ気味に絶叫する「少年」は、近所の高校生らしい。うーん、なんだこの店は……でもいいぞ、実にいいぞ。

うどん exitくんが「シメに」と言っておろしうどんを注文した。うどん屋廃業のマスターに対する挑戦状か!?しかしマスター、果敢に受けて立ち、冷凍麺にも関わらず、すばらしいコシとツヤのうどんをドドン!と。食い物にはうるさいexitくんも絶賛。本当に、ゆがいて冷やしたうどんに、醤油・大根おろし・ネギをぶっかけただけなのだけど、すこぶるウマい。

 うーん、ヤバイですこの店。そうとうの魔力。尾道到着数時間にして、すでに帰りたくなくしてしまうとは。

 そういえば途中で知ったのだけど、社長の横のオネエさんは、我々が部屋を取った宿の、隣の宿の方だったそうな。ごめんねオネエさん。



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