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ぼくの(リアル)なつやすみ 2005 その2

■2005/08/15(Mon.)■

 目が覚めたら8時だった。港町特有の、漁船の行き交う音が窓の外から聞こえてくる。exitくんとはもうずいぶんといろんな所を旅してきたけど、いつも彼の早起きには驚かされる。今日も僕よりはずいぶん早く目覚めていたらしい。昨夜はそんなにムチャ呑みしたわけではないけれども、さすがにグッタリと酒の残る体を、熱いメシと味噌汁で癒したい、と思い、散歩がてら外出することにした。

にゃー 山の手の方の千光寺公園あたりなら、観光地でもあるし、開いている店があるだろうと踏んだので、グイグイと登っていく。長崎も坂の多い街として有名だが、尾道は坂が多い、というよりも斜面にへばりつくようにできている街で、まるでダンジョンのようだ。そして、とてもネコがたくさん住み着いている街である、ということも初めて知った。山の手にさしかかって5分もしないうちにあちこちでノラネコの朝の散歩に遭遇した。ある住宅の前では、ちっさな子猫が「きょとん」とした顔で我々のぐいぐい登山を眺めていた。

050815_02.jpg 目指す朝食にはなかなかありつけず、尾道城到着。ここも元々観光地だったようだが、採算が合わなかったのか完全に封鎖されている。Uの字型の門に「S」「N」というラクガキが。あまりにベタで誰も思いつかないのではないか。尾道人のセンスにおののく。センスと言えば、この門番もいかがなものか。怖いです。顔、青ざめてるし。050815_03.jpg

050815_04.jpg テケテケと千光寺方面に歩き続ける。しかし本当にネコが多い。

 千光寺公園付近は、ちょっとした遊園地のようになっていて、メリーゴーランドやジェットコースターが。しかし客は誰もいないし、遊具はガビガビにさび付いているし、ここで遊ぶのはかなりの勇気を必要としそうです。管理所っぽいところでは、ますます客を不安にさせるような老人が、たいくつそうにスチールの回転椅子に座ってあくびをしていた。

 気が付くともう10時を回っている。熱いメシと味噌汁、という時間でもなくなってきている。千光寺に参拝し、とりあえず山を下りることに。exitくんによると、なんでも「梟の館」というカフェが、とても雰囲気のいいところらしく、ぜひ行ってみたいと。カフェとなると若干方針は変わってくるけど、軽食にもありつけるのではないか、ということで、早速京ぽんを駆使して色々と調べてみるのだけど、どうも場所がよく分からない。尾道の山の手は迷路のように入り組んでいるのだ。地図にも載らないようなコマカな道がマジョリティと化しているこの街で、聞き知っただけの店にたどりつくのは困難至極。とりあえずそのお店、元々は「満月の夜にしかオープンしていなかった」カフェである、という情報を入手。なかなかにステキな気配を感じるけれども、これではラチがあかん。

 駅前のショッピングモールに入り、書店を目指す。そういういわくのありそうな店なら、観光ガイドかなんかに載ってるんじゃないのか。あるいは、地元タウン誌とか。しかし結局挫折。折しも外は強風吹き荒れる大嵐に。なんかすげー雨。午後からいよいよしまなみ街道に突入の予定だったのに、大丈夫なのか。とりあえず、本屋ではいくらでも時間をつぶせる我々。活字中毒で良かった。ショッピングモール内では、落雷対策のために一部の照明を落としたり、エスカレーターを止めたりしている。いよいよ不安だ。

 食料品売り場でお総菜を買って、休憩コーナーで食うことに。結局朝昼兼用か。exitくんが「ビール呑もう」と。「おぉそれはいい!!」真っ昼間からスーパーの休憩コーナーでお総菜とビール、という、今から思えばどうにも恥ずかしいことをやってしまいました。でもこの時はノリノリだったんだよな。また本屋をうろついて、隣の喫茶店でコーヒーをのみつつ、しつこく「梟の館」を検索していると、どうにかそれとおぼしき地図を発見。おりしも雨は小やみになってきた。よぅし!動くなら今だ!とばかりにサ店を飛び出す。

 目指す「梟の館」は、なるほど非常にわかりにくい路地の奥の、段差の下の、門をくぐって石畳を進んだ中にあった。古民家を利用した作りで、普通の玄関のようなところで「ゴメンクダサイ」という。小柄の、おっとりした感じのお兄さんが愛想良く出迎えてくれた。コーヒーは飲んだばかりなので、ふむどうしようか、と思っていると、exit君曰く「この、尾道ビールというやつを飲もう」。この人今日はどうしちゃったんですか。

050815_05.jpg 真夏の雨上がりなのに、京都のような地獄の蒸し暑さはなく、ほとんど山中にあると言っていい「梟の館」の2階席は、テラスのようなつくりになっており、涼しい風がほろ酔いに心地良い。眼下には尾道水道。たまりません。もーどーにてもしてくれ!と、完全に尾道観光協会の術中にはまってしまった俺がいました。

 「梟の館」を辞し、駅前のレンタサイクルに向かう。やっぱり猫が多い。この時に知ったのだけど、尾道には観光客に可愛がられている「ドビン」という名物犬がいるらしい。最近は年を取ってしまい、なかなか見かけることが少なくなったようだ。僕も今回の旅では会うことができなかった。いつか近いうちに会いたいなぁ、ドビン。

050815_06.jpg レンタサイクルで、必要事項を記入して自転車を選ぶ。exitくんとのチャリ旅は3度目だけど、彼がスポーツサイクルに乗るのを初めて見たような気がする。今までは、クロスバイクを限りなくママチャリに近づけたようなマシンだったからなぁ。そして僕はクロスバイクを選ぶ。買い換えるならこういうタイプ!と思っているやつだ。うれしい。最初のターゲットは「向島」だが、ここは専用の渡船で渡る。距離だけで言うと泳いでも行けそうなほどに近い。それだけに地元の人も「島暮らし」というよりは、尾道本土と普通に行き来しているようで、渡船も2隻がひっきりなしに往復している。

 船に乗る前に、渡船代用の小銭を作るために、exitくんが飲み物を買っていく、と言って船着き場の自販機に向かった。ところがこの自販機がクセ者で、彼の千円札を途中まで吸い込んだまま、ピクリとも動かなくなってしまったのだ。おまけに先ほどまでの雨露に触れてしまい、札はヨレヨレになってしまった。無理に引っ張ったりしたらその場でビリッといってしまいそう。もう渡船は目の前まで来ている。あぁぁぁもうッ!……って、次の船も5分後ぐらいに乗れるんですが。なんだか相当テンパってしまったexitくんは「もうええわ!乗ろう!」と言い出す始末。いや、そんなあわてんでも。結局、僕が微妙な力加減で、無事彼の千円札をレスキュー。

050815_07.jpg 渡船は、漁船をちょっと大きくしたような感じで、僕らの他に観光客っぽい家族連れと、地元の軽トラックが乗ってきた。船頭のオジさんは、ジーパンの似合うナイスガイ。舳先に立ってキメておられました。

 向島あたりは、僕らと同じようなサイクリングの観光客がけっこういた。さすがに、四国まで渡ってしまおう、というような人は少ないんだろうなぁ。旅の仲間ができたらもっと楽しいんだろうけど、ここで話は急に自慢めいてくるのだがこちらは北海道半周の猛者である。ペースがまるで違う、ということで残念ながら男2人旅。でも、会社以外で男性と話す機会というのは、年に数回という状況になってしまった僕としては、むしろその方がうれしい。

050815_08.jpg さすがの猛者2人も、9年のブランクでやはり衰えていたようで、第1の橋「因島大橋」の入り口に至る高低差には多少難儀をした。高速道路のようなスパイラルを、先が見えないままひたすら登り続けて、ようやく橋。グルグル回りながらだったのでよく分からなかったのだけど、けっこうな高さになっていた。

050815_09.jpg 因島大橋は、2階構造になっていて、下が歩行者・自転車で上が自動車・バイクというようになっている。上の様子はまったく分からないのだけど、歩行者道はなんとなく建設中の鉄筋仮歩道のようで、ネットは張ってあるものの、眼下は海。頭上からトラックが走り抜ける音がゴウゴウ鳴り響き、おっそろしくて一気に走り抜けてしまった。心なしか、橋全体が揺れているようにも感じる。吊り橋だもんな。

050815_10.jpg 因島から大三島までは本当にアッという間に駆け抜けてしまった。ひとつの島あたり、だいたい30分ぐらいで走り抜けられる感じかな。島の中でも、街っぽい中心部あたりは、役所があったりコンビニがあったりで、「島」っぽさを感じさせない風景も。でも、途中でスダチかな?カボスかな?なにか柑橘類の畑脇を通過した時に、あぁ、瀬戸内の風景やなぁ、と妙に実感したり。

 えーと、今、旅行の写真を僕撮影とexitくん撮影のものと合わせて眺めつつ、記憶をたどってこの文章を書いているんですが、丁度今書いているあたりの写真はどれもこれも橋の写真ばかりで、オマエらどんだけ橋マニアやねんッ!ちゅうぐらいの勢いです。でも、もうどれがどの橋だったんだか、サッパリ分からないのでありますよ。

050815_11.jpg橋!

050815_12.jpgそして橋!!

050815_13.jpg橋!!!もっと来いフォルァ!!

 大三島に渡りついたあたりで、今日はこの辺までにしておくかぁ、というような話になった。橋からスパイラルを下りきったところにドライブイン&緑地公園のような所があり、そこでちょっと休憩。見ると、自転車に旅行用品フル装備の若者が地図を眺めつつ缶コーヒーを飲んでいて、しばらくすると出発して行った。ワシらもああいうことしてたよなぁ、と懐かしんだり。

 緑地公園からチャリで5分ぐらいの所に「多々羅温泉」という温泉があるという事が、地図を見ていて分かった。とりあえずそこでひとっ風呂浴びて、宿を探すかぁ、という話になった。多々羅温泉は、海岸から1キロほど内陸に入った高台の上にあり、昼間ならば瀬戸内の風景を眼下に見下ろしつつ湯に浸かり、極楽気分を味わえるのだろうが、我々が到着したのとほぼ同時に陽はとっぷりと暮れてしまい、窓の外はマックラヤミだったのでありました。ザザザッと旅の汗を流し、休憩所でコーヒー牛乳を飲みつつ『中学生日記』を見る。しかしこの番組もよくネタが続くよなぁ。

 さて、2人とも「宿?何とかなるやろ」的な気分でこんな時間までノンキでいたのだけど、温泉を出るともう本当に「夜です!」という容赦ない闇でして、いささか焦ってしまった。とにかく海岸沿いの国道を走っていれば、カンバンなり何なり、情報ぐらいは得られるだろうと、そのまま走る。島の中心部に行けばもっと確実なのだろうけども、役場や店が集中するエリアは山を越えた向こう側の海岸らしい。大三島はしまなみ街道の中でも一番大きな島で、フロの後でひと山越える、というのは何とか御免こうむりたいところだな、などと話しつつ走っていると、旅館と民宿が2軒続きで明かりをともしているのを発見。

 まず、ログハウス風の民宿の方の扉をくぐってみる。入り口を入るといきなり座敷になっていて、家族連れとおぼしきグループが鍋を囲んでいる。この真夏に鍋ですか!!「すみませーん!」「こんばんわー!」と何度も声をかけてみて、ようやく宿のニーチャンがめんどくさそうに出てきてくれたのだけど、食事も宿泊も今夜はお断りしたい、と非常に慇懃かつクールに断られてしまった。

 仕方なく、少々値の張りそうな隣の旅館へ行くと、夕食はもう終わってしまったのだけど、素泊まりならOKとのことで、早速手続きをして部屋へ通してもらい、人心地ついた。

 旅館の隣に、喫茶軽食ドライブイン風の店があったので、そちらでとりあえずバンメシを食うことに。exitくんは焼うどん、ぼくはカラアゲ定食を。雑誌や新聞と一緒に、ずいぶん古ぼけた『ドラゴンボール』が置いてあったのでつい読みふけってしまった。もう話全部覚えてるのに。

 多々羅温泉から宿までの間に、ローソンがポツンと立っていたことを思い出し、軽く酒とツマミを買ってきて、宿へもどってチビリチビリと飲んだ。テレビでは、中東の方で仕事をしていたらしいジャーナリストを主役にしたテレビドラマをやっていた。我々が泊まった部屋は、後から増設された別館のようなところで、なんだかつくりも宿っぽくなく、フシギな部屋であった。ドアをあけるとフローリングのリビングみたいなスペースがあって、冷蔵庫なんかが置いてある。奥に8畳の和室があり、寝るのはその部屋のようだ。なんだかちょっとマンションみたいだな。

 二人で飲みつつ、話をして軽く旅の記録をつけたら、猛烈にネムたくなってきてしまった。本当に今日は一日盛りだくさんだったよな。熱いメシと味噌汁を求めて徘徊していたのが今朝だなんて、とても思えない。もうあれから何日もたっているように思える。

 そんなわけで、明日はいよいよ四国上陸予定なのです。



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