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■2004/06/30(Wed.)■

 最近マイペース気味の、猫松先生のコラムを久しぶりに読んだ。

 世の中のムダを考えていくと、ムダこそにクリエイトの源泉があるように思えます。効率的・ショートカット・結果重視はシャカイジンのオキテかもしれないけれど、そのモードからあえて外れることから、異分子的な地雷を世界に投げかけられるような気が…。たぶんこれからも、その連続で、いろいろまわりの方々から眉唾で見られる機会があいかわらず続いていくんだろうなぁ。

 そう!そうなんスよ!!あたしゃもうモニタの前で片膝叩いて喝采したのでありました。今月はとにかく終業後の時間が足りなくて足りなくて、ということばっかり書いていたきがするんですが、じゃぁオマエ日記なんか書いてないで絵を描けよ、って言われそうなんですが、それはそれで、3年半続いたものに1日穴をあけるかどうかって結構判断に困ることでして、なんかもう野菜に追われるわ日記にも追われるわで、できればキレイなおねぇさんに追われたいところなんですけどもやれやれまったくオッサンなのです。

 これを書いてる現在、2004年7月26日でして、やっと日記とリアルタイムとの差が1ヶ月切ったという感じで、幾分ヨユーが出てきたんですが、こうやって追われて書いているとやっぱりアレが気に入らんとかコレがむかつくとかそんな話ばっかりでもうちょっとこう気を落ち着けて世の中見たいんですけどなかなかそうもいかず。

 もう1ヶ月以上炭火焼やってないんで、久しぶりにじっくりイッパイやりたいんですが、もうtodoが山のようになってるんでまったくこりゃどうしようもねぇやという感じです。


■2004/06/29(Tue.)■

 まぁ27年とちょっと生きてると、いろんな人といろんなことがあったわけですが、ボケーッと思索にふけっていると、案外、人から何かイヤな思いをさせられた記憶というのは鮮明に残っていないことに気が付いた。そんなこともありましたなぁ、弱っちかったんだなぁオレ、という感じで。

 一瞬、これが記憶の美化というやつの一環なのかなぁと思ったのだがそうではなくて、逆に人に嫌な思いをさせてしまった記憶というのは鮮烈に呼び覚まされてしばらくフトンでのたうちまわるハメになってしまった。なんてこった。

 憤怒の感情の瞬間的爆発や、あるいは長い冷戦などを経て、思えば結構な人数との離別を繰り返してきた。失意のうちに僕から去っていった人たちに対して、謝罪の言葉も持たないし、いまだに頑なに謝罪すべきでないと思っているフシも多々ある。もっとも彼/彼女らは、今更僕に何の期待もしていないとは思うのだが、記憶の渦深くもぐっていくと、決着がつかないままいつの間にか終わっていった確執というものがけっこうあるなぁ、ということに気が付いた。

 そういう「やりのこしたこと」が、この先死ぬまでどんどん僕の中に蓄積されていくんだろうなぁ、と思った途端、途方もなくくたびれてしまって、そのままズブズブと記憶の渦ならずネムリの渦へとぼくはとけ込んでいくのだった。


■2004/06/28(Mon.)■

 もうちょとしたら夏の賞与の時期であります。でもまぁそんなものは借金返済と来春の引っ越しに向けた貯金に消えていくんですが、せめてユメでも、と思って欲しいものリストを考えてみたところ、別段欲しい物がさして思い浮かばないという結果に終わった。

 まぁ挙げようと思えばiBookとかiPodとか21インチモニタとか服とかカバンとか幸せとかヒマとか友達とかあるんですけど、「それホントに要るかなぁ?」と考え始めるとたちまちのうちにリストから抹消されてしまうという始末。

 「コト足りてるっちゃぁ、足りてるなぁ」という感じで。

 iPodについては最後の最後まで悩みました。miniも出るし。でも、いかんせんあの先行者みたいなリモコンが僕にはいただけないわけですよ。ポータブルオーディオは、ほぼ全ての操作がリモコンでできないとイヤなんです。再生・停止・早送り・巻き戻し・ボリュームは当然として、曲の確認やイコライザの設定まで。だってあんなに曲が入るのに、いちいちカバンから本体を出さないと(しかも本体重いし)スマートな操作ができないってのはちょっとねぇ。

 あと、通勤が10分で完了してしまう僕にとって20GBってのはちょっと多すぎかと。32MBのケータイdeMUSICでも持て余していますから。

 ま、なんか必要なものができるまでとっておこうかと。

 ……いやだから借金返済と貯金で消えるんだってば。


■2004/06/27(Sun.)■

 『彼氏彼女の事情』を見ていて思ったんだけど、友人に「彼女のどこがいいんだ」と言われて答える有馬くんのセリフ「メリット無しで僕といてくれるとこさ」というのは、よく考えるとちょっとどうなんだろう。もっとも、彼は彼で闇を抱えた人なので「自分といてもメリットがない」というような言葉は後になってまた出てくるんですが、そんなにサワヤカにキメて言われても……単なるイタイ人なんじゃないのかと。

 そんなこんなでカレカノ週間も終わり、次は映画をセッセとDVD化しておるわけです。『青春デンデケデケデケ』とか『僕らはみんな生きている』など、懐かしい映画を立て続けに見られてちょっとうれしい。

 それにしても映画館に通わなくなって久しい。一番最近観たのが4月の『きょうのできごと』で、その前となると昨夏の『バトル・ロワイアル2』だ。その前はさらに1年さかのぼり『少林サッカー』だもんなぁ。月に2本も3本も映画館で観ていた日々というのもまた、懐かしいものです。


■2004/06/26(Sat.)■

 詳しくは知らないんだけど、「電気を消して、ローソクをともしましょう」といったような、スローライフ・エコライフ的キャンペーンイベントが全国各地で催されていたらしい。それはまぁ別段文句はなくて、各人好きにローソクでもタイマツでも燃やしてくださいといったところなんだが。

 京都北山では、道路にズラリとローソクを並べて、さぁいらっしゃいごらんなさい幻想的でしょファンタジックでしょスローライフってなんだかいいわねウフフ、というようなカップルイベントに過ぎなかったようだ。

 そんなカップルイベントをしたら、クルマは増えるし店もジャンジャン営業するしコンビニは繁盛するだろうし、まったくどこがスロー&エコライフなんだかまったくわからなくなる。

 江戸時代の「ぜいたく禁止令」で、「町人は絹の着物など着てはならん!」というようなお触れがあったらしい。おかげで町人は、せっかく着られる絹の着物を捨てて、木綿の着物をドンドン新調せざるを得なかったという。木綿の値段は高騰し、絹業界は大打撃を受けたという。そんなエピソードをふと思い出した。

「中身はなくても イメージが大切だ」
THE BLUE HEARTS『イメージ』


■2004/06/25(Fri.)■

 たまに夕食を学生向けの食堂なんかでとると、耳に入る会話にまったく辟易してしまう。なんだろうねぇ、女は口を開けば「カワイイ」しか言わないし、男は「ヤバイ」ばっかり。他に言葉知らんのかい。

 佐世保の女児殺しがらみの新聞記事を読んでいると、怒りというものを言葉に乗せてきっちりと「噴出」していないことにより、抑圧された感情がある時瞬間的に暴発してしまうのではあるまいか、とあった。あれはうなずいてしまった。

 流行語や若者言葉、個人的には苦手ですが、それで言語表現の世界が豊かになっていくんなら、別段否定するつもりはない。いいなぁと思う。今まで表現できなかったことを言い表せるのはいいじゃない。でも、流行語などのお陰でどんどん言葉が貧弱になっていくのはどうにもいただけないと思うわけですよ僕なんかは。

 もう今は、テレビの暴力的なまでのパワーが、なんだかヘンテコな言葉を「わっ」と送り出しては「わっ」と消し去ってしまうというような時代なので、僕なんかがここでゴチャゴチャと書いたところで何の意味もないどころか、単純にカッコワルイ呼ばわりされてしまうんだろうけど。


■2004/06/24(Thu.)■

 最近見つけた北大路大宮下ルの中華料理屋、『御旅飯店』はウマい。定食の種類も多く、量もなかなかにボリーミーで実に気に入った。が、とにかくせわしない。学生・サラリーマン・近所の工事のオッサンなどなど、一体どこからこんなに人がわいてくるんだというくらいにどんどん人が入れ替わっては消えていく。もっとも、そういう種々のヒトビトの観察というのはもうこんな時じゃないとできないので、それはそれで楽しいんだが。

 大衆中華が好きなので御旅飯店に限らず、ヒルメシはどうも中華に偏りがちなんだけど、そういう店に入ると僕はできるだけ厨房が見える席に陣取ることにしている。和洋中の中で、調理の現場を見ていて一番エキサイティングなのはやはり中華料理なのではあるまいか。コンロの前に、ズラリと並んだボール入りの調味料からオタマでサッサッサとすくって行き、たちまちのうちに炒めてしまうというスピーディーな流れが実に美しい。

 僕ん家の台所にも、ああいう風に調味料を整列させておきたいんだが、家で中華を作ることなんて多くても週に4、5回だ。その間にホコリの浮いてしまったタレを使う気にはとてもなれない。

 夜、立て続けに久しぶりの仲間と電話で話した。会社の方がマジでちょっとつらく、何か他の世界に面白いことを求め始めている自分、というのはちょっと前からうすうす感じてはいたのだけど、電話したうちの1人から早速何やら面白そうなプロジェクトへの参加をすすめられた。求めよ、されば与えられんの世界は本当にあるんだなぁ、と思った。


■2004/06/23(Wed.)■

 ウチの部署の年齢構成は、上から33、29、28(ぼく)、25、24となっている(便宜的に誕生日を同一とした場合)。それで、今日は「高校時代」という話題でアレコレ話していたんだが、どうも僕とその下のヒトとの間に、強烈なジェネレーションギャップがあることに気づいた。5つ上の人より、3つ下の人の方が価値観がそぐわないんである。

 僕らの高校時代というと、まだ「女子高生」というもののブランドイメージが確立していない頃で、ケータイもプリクラもルーズソックスも無かった(あるいは、無いに等しい定着度であった)。もっとも、僕の高校は私服で、カリキュラムもなんだか大学のようなヘンなところだったので、あの時代の一般というのはいまひとつよく分からないんだけど、でもまぁ他校の生徒とけっこう行き来があったのである程度のものは見てきたと思う。

 世代、というものはやっぱり単純に年齢を輪切りにしてできるものじゃないんだなぁということを実にリアルに実感したわけですが、そんなことを考えながら夜は『ラブ&ポップ』を見ていると、主役級女の子グループの言動がまったく理解できなくてまいってしまった。

 実に着実に、オッサンへの道をまっしぐらに進んでいる自分というものに気づいた。

 ……というような話を相方様にしたら、彼女は昔いわゆるジベタリアンだったという。そういえばヤツは23歳だ。なんてこった。


■2004/06/22(Tue.)■

 とにかく野菜を消費せねばならぬ、ということでめったやたらに自炊を敢行している。昨夜さっそく具だくさんのミソ汁を作ったのだが、何せこの暑さである。今日の午前中はミソ汁が心配で心配で仕事も手に付かない。昼休みにはダッシュで帰宅し、その無事を確認の上、ヒルメシ。ほとんど脅迫的である。

 そのかわりと言ってはなんだが、数日前に特売で手に入れておいた竜田揚げから、何やらあやしげな糸がひいていた。だもんで、急遽おかずをメザシとタマゴヤキに変更。昼休みに自炊というのはけっこうせわしないものである。食後の一服もままならず家を飛び出して会社に戻った。なんて忙しいんだ。

 終業後、ファミマでIn the Soupのライブチケットを買った。コンビニでチケットを買うのは初めてだったので勝手がわからず、僕は機械の前でカネを出して行儀良く待機していたわけだが、いつまで経っても「カネ払え」と言ってこない。レシーと持ってカウンターで払うのね。知らなかった。

 相方様はピロウズのCDを買いにタワレコへ行き、同じCDを買ったヒトに突然話しかけられてエライ盛り上がったらしい。いいな。そういう時女性はちょっとトクだなぁと思った。男というのは話しかけられることもないし、話しかけてもあやしがられるだけだ。

 僕はもう帰宅してDVDを作ってフロ行ってメシ食ってたらもう23:00になってもうた。ヒマなさすぎ。なんだか今日は朝から晩までひとりでワタワタと実にせわしなかった。


■2004/06/21(Mon.)■

 なんかだるい。一時にくらべたら酒は減ったし、体も動かしてるし、メシも食ってるのに。煙草のせいかしら……何を今頃。

 外は台風でエライ雨風である。ヒルメシに出る時、同僚にカサを借りたらふっとんでしまいカサはバキベキのベキビキになってしまった。。

 夜になると体調は下落の一途をたどり、ついにはビールもうまくなく、1本あけたところでダウン。

 ところで相方様が引っ越してくる時に、「一人暮らし、慣れるまではタイヘンやでぇ〜、誰も何も手伝ってくれへんでぇ〜」などと結構オドシをかけておいたんだけど、最近なんだか彼女の方がアレコレしっかりしていてまいってしまう。「思ったほど大したことないじゃん」などと言われてしまい、これではまるでボクが、「大したことない」ことを「タイヘンやでぇ」と勝手に感じて1人でヒィヒィ言ってるみたいではないか。

 くそ、カレーが作れたくらいで図に乗るんじゃありませんことよッ!


■2004/06/20(Sun.)■

 昼前に岡山の親から野菜が届く。親から食料の仕送りだなんて、27歳社会人にもなってなんてハズカシイヤツ……と思われるかもしれないが、これは今までとは違う。向こうでとれすぎて困っている野菜の消費拡大にこっちが協力させていただいているのだ。ムフフフ。

 ……こうでも思わないとこのハジは乗り切っていけない。まぁ、協力してるのは本当なんですが。

 野菜の他にもオマケ的にあれこれ入っていたんだが、この2点が気になった。

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 生協の袋ラーメン&ヤキソバなんだが、これって思いっきり日清製品のパクリなんじゃないんですか。こんなことでいいのか生協。

 しかしそれにしてもモノズゴイ野菜の量である。ジャガイモ、タマネギ、キュウリ、ピーマン、ニンジン、キャベツ。キャベツなんて冷蔵庫に入らないくらいの超特大サイズである。これらが腐ってしまう前にキチンと消費しようとなると、当分は野菜に埋もれて生活することになりそうだ。

 昼に相方様が来訪、天一でチケットによる半額ラーメンを食う。帰り道に神馬堂へ焼きもちを買いに行き、「2個!」と言うと何をカンチガイしたのか「2400円!」と言われ、いささか怯んだ。「○百まんえ〜ん!!」という古典的なネタはよく聞くが、10倍くらいの差だとなんとなくありそうでちょっとコワい。

 その後松ヶ崎ツタヤ〜洛北カナート〜コジマ高野店と走る京都東北部縦横無尽ツアー。高野の古本市場で『クロノトリガー』のPS版をゲッツ。しかしクロノやってるヒマなんてぜんぜんねーよな……。


■2004/06/19(Sat.)■

 部屋で1人、黙々とVHSに撮りためた『彼氏彼女の事情』をDVD化する作業。今の環境では、ビデオをキャプチャーするには画面を見ながらの実時間を要する上に、けっこうなマシンパワーが要るらしく他のソフトはほとんどマトモに動かない状態なので、ついでに見ながらやってるわけです。

 ゆきのんより、高校生小説家のサワダアヤがお気に入りです。

 最近家ではあまり紙に絵を描くことをしなくなって、本当にもう机周りがエライことになってきている。片づけたいのはやまやまなんだが、もう本当にしまうところがないんだよなぁ。

 ついに夕方まで一歩も家を出ず。夜は久々に純米酒を買ってきて、In the Soupのライブビデオを見つつイッパイやる。なかなかオモロイ。ライブビデオを見て「オモロイ」っつーのもどうかと思うが。早く見ればよかった。

 これまた久々にローソクをつけてお香をたいた。


■2004/06/18(Fri.)■

 夜、kousuke君からお誘いがあって西陣で呑んだ。なかなかオレ好みの大衆酒場に案内されて、座敷にてワァワァと色んなことをしゃべりつつ呑む。ここは一番高いツマミでも580円で、ほとんどのメニューが200円台〜380円台と実にリーズナブル。

 「ボクはねぇ、こういう所で呑んでいると、つい横のヒトに話しかけたくなってしまうんですヨ」などとkousuke君は行っていたが、今日は先方から話しかけられた、というか、しなだれかかってこられたkousuke君。どうやら夫婦とその仲間たちで呑みに来ていたグループらしいのだが、そのツマたる女性がkousukeくんにペタッと寄り添い、夫を指して「このヒトなぁ〜、ホーケーやねん!キャハハハハ!!」

 オレは一体どうすればいいんだ。

 まぁでも楽しかった。けっこう長居したのにあんまりおカネは出て行かなかった。ぜひまたフラッと立ち寄ってみようと思う。中立売智恵光院下ルの「次平」。

 もう一軒、と思っていたのだがなんとなくそのままラーメンを食いに行くことに。これまた彼のオススメで丸太町まで下がる。「ちえぞう」と看板のかかったその店は、ラーメンの他にオツマミ各種取りそろえてあり、なんとなく夜は呑み屋兼用、という感じだった。

 そこでスーパーロボットスピリッツのライブの話なんぞをしていると、店のオッカサンが割って入ってくる。「マジンガーZな!息子が昔見てたな!」と。やけに元気のいいオッカサンで、こんな深夜までよく店を切り盛りできるもんだ。しかし今夜は色んなヒトから話しかけられる夜だなぁ。

 我々のナナメ前方の席に、若い男女連れのグループがいた。どうやら旅行者の女をナンパしてきた模様。盆の、五山の送り火についてやたらクドクドと解説をしている。

 まぁそれはいいのだけど「大文字焼」って言うなヨハズカシイなもう。なんだよ、回転焼みたいじゃねぇか。しかも、

「あれはな、霊魂をなぐさめるための行事やねん」

 ……ってオイオイ、あんまりメチャクチャを教えちゃぁイケマセンよ。なんなんだろうなもう。「送り火」という言葉を知っていればそんなトンチンカンな解説が出てくるはずはないんだが。

 こうやっていろんなものが、バラエティー番組的お祭り騒ぎに矮小化されていくんだろうなぁ。


■2004/06/17(Thu.)■

 今年もホタルの季節がやってきて、銭湯に向かう道すがら、ここにも、あ、ここにも、などとやっておるわけですが、今日はそのホタル舞う川を遡って上賀茂神社境内にまで入っていった。

 境内は、銭湯への道なんてメじゃないくらいに蛍光が飛び交っており、10年住んでいたというのにこんなの全く知らなかったと、僕はもうただ呆然とその光景に見とれておったのでした。見物客もけっこう多くて、なんだか遠くからクルマを飛ばして来た人もいるようだ。

 帰宅して検索してみると、毎年神社がここに幼虫を放流しているらしい。なるほどそういう仕掛けになっていたのかと思わず納得してしまった。都会育ちの相方様は、ホタルを生で見るのが初めてらしく、えらく感激してしまっていた。そういえば先日は、田んぼや畑を間近で見るのは初めてだ、というようなことを言っていた。うーん、知らなかったとは言え、日本という国もなんだかずいぶんと困ったことになってきているのかもしれないなぁと思った。

 野菜の作り方なんて、知らなくても生きていけるもーん、と言われればそれまでなんだが、それを言ったら、テレビで流れてる情報というのも、ほとんどが生きるには困らないネタばっかりなんじゃないのか。

 生まれてから畑や農場や漁場をまったく見たことのない人間や、僕のようにテレビも新聞もロクに見ないで国際情勢もよくわからない人間が、ノホホンと暮らせてしまう、と言うこと自体が、やはりなんだかヘンだなぁと思う。

 だからがんばってアサヒコムくらいは毎日見ているのだけど、健康増進法なんていつ決まったんだよ。知らない間にキャベツが買えてしまうのと同様に、知らない間に自分のやってることが違法行為になっていくものなのか。やはりヘンだ。


■2004/06/16(Wed.)■

 終業後、相方様と合流して同志社でメシ食ってたら、大学時代の友人から電話がかかってきた。「今どこにいんのー?」「同志社でメシ食ってる」「あいかわらずワケ分からんな」という実に失敬きわまりない会話を交わした後、千本中立売のマクドで会うことに。

 何やら転職を考えているらしく、アレコレ悩むところも多いらしい。彼女は元々高校の美術系出身でもあり、ちょっと大きい公募に採用されたこともあるという、なかなかスゴイ人なのだけど、ここ数年はそういうこととはまったく縁のない職場にいるという。でまぁ、やっぱり絵への思いは捨てられないとかそういう話を聞いていたんですが、ちょっと現状ではいささかキビシイかなぁ……という印象が。なんせイラストレーター触ったことがないって言ってましたから。

 そういえば時間が前後するけど、昼休みにアッチから電話がかかってきた。今、どこかの温泉街にいるらしい。最近休日はそうやってアチコチにクルマで飛び回っているらしいが、コトにお気に入りなのが丹後らしく、今月の初めに天橋立に行って以来、えらくご執心である。

 その次の休みには早速単身「とれとれセンター」に乗り込んだらしい。魚屋のオッチャンは「先週も来てくれたよね!?」と、しっかり覚えていてくれたらしく、それがまたアッチの琴線に触れたようだ。更には、ハクレイ酒造で何やらお祭りがあるということで、次の週も丹後方面へクルマを飛ばしたらしい。まったく恐れ入ってしまう行動力なのだ。

 相方宅で「パワーパフガールズ」とかを見て「アメリカ人はアホだ」などと言いつつ、本屋で勝手にコンプレックスを抱きつつも酒場ガイドブックを買って帰ってそれで満足している僕なんかとはまるでスケールが違う。

 最近ここを書いているとまったくロクなことを考えない。いかんいかん。


■2004/06/15(Tue.)■

 前も書いたかもしれないけどさ、「5年は辞めない」って。言ったけどさ、やっぱりヤになる日ってのは確実にあるんだよ。

 ヒルメシを食いに行った中華料理屋の向かい店に黒いラブラドールが寝ていて、近づくと吠えられてしまった。見ると、宝石店であり、番犬としてはまぁ立派に仕事してるけど、そんな入り口をふさぐようにねていたら、マトモな客も入れないんではないか……って、こんなことしかネタないんかい。

 ……ちょっとくたびれてます。色々。


■2004/06/14(Mon.)■

 なんだろ、昼過ぎあたりからボーッとしてダリダリ。

 仕事の習熟度をチェックするためなんだかどうかよく分からないけど、主任様から部員全員に対して、とあるデータチェック作業の指令が出た。見事にオレはチェック漏れがあり、つくづくハズカシイ思いをしてしまった。仕事にもいろいろ慣れて、よっしゃやったるでー的ノリの時期だっただけに、ショックもひとしおだったのだ。

 午後は午後で、印刷物のデータを印刷所に渡す際に、トンボ分の「塗り足し」をするのを忘れてしまうという体たらくで、もうアタマがどうかしたとしか思えないミスを連発。

 くそったれ、と思って帰宅し、ストーブをしまって掃除機をかけた。こんなに広かったんや……と思いつつVHS→DVD作業をしてたらはげしい頭痛。21:30頃に床にダウン。そのまま寝てしまう。


■2004/06/13(Sun.)■

 昼前に起床。相方宅の近所には、なんだかめったやたらとうまそうなテイクアウトコロッケ屋とか餃子屋があるので、そういったトコロでおかずを入手して米だけ炊いてヒルメシ。いいなぁ、休日の昼の幸せというやつです。

 そういったものをついばみつつ、DVDでパワーパフガールズなんぞを見ていたのだけど、なんだろうね、アメリカのアニメーションというのはもうなんだか見るに堪えない幼稚くささがただよっていてニンともカンともなのだ。もっとも、アチラではアニメやマンガというのは、日本以上に「コドモ」の見るものらしいので、いかんせんチープになっていくのかもしれないけれどもそれにしたってなんだかなぁという感じがする。

 日本における、マンガではなくてアニメ方面での手塚治虫の業績というのはとかく論議されることが多いらしく、曰く「アイツのせいで」とか「あの人のおかげで」とか。でおまぁ、こういう風に海外のモノを見ていささか落胆してしまったりすると、やはり我が国に手塚先生がいた、というのは歴史的に見てやはり看過できることではないように思えて鳴らない。

 ロシアの「チェブラーシカ」とか、チェコのヤンシュヴァンクマイエルなんかを見ている限りでは、ヨーロッパはなかなかヤルなおぬし!という具合なんだけど、やっぱりアメリカってなんなんだろうな、単純バカというかなんというか。

 あっ、あんまりこういうことを書いてはイケマセンね。

 パワーパフガールズ、グッズにするとなかなか女の子受けしそうな、カワイイものになるんだけどなぁ。まぁいいや。

 夕方前から四条大宮方面へ移動。嵐電の駅を少し下がったところに、ステキ中華料理屋を見つける。今度機会があったらゼヒ入ってみようということになった。

 四条大宮のブックファーストに入る。ここは来るのは初めてだ。季刊エスを見ていると、梓弓の水谷ゆたかさんの作品が掲載されていた。数年前にお会いした時には、「ボクより若いのにすっごい絵が上手くていいなぁ、すごいなぁ」というヒトだったのが、気が付いたらいつの間にかプロなのだ。大学の後輩だった乾良彦君も、夜更けにアツく漫画についてアレコレ語っていたかと思うと、今や連載を持つ漫画家だ。どんどん置いて行かれていく気分で一杯になった。サラリーマンになって、それも絵を描ける仕事で、食うや食わずの生活からようやく脱却できたと思っていいたら、みんなもっとものすごい努力をしてどんどん先へ行ってしまうのだ。とてもくやしい。

 でも、そんなことは次の瞬間には瞬く間に頭の中から消え失せ、『京都・大衆酒場』という本を即買いして、アフター5の夢にココロときめかせながら帰路についたのであった。

 なんだかここ1年ほどの日記は「サラリーマン」という環境がいかに人間をダメにしていくかという実況中継のような気がしてならない。


■2004/06/12(Sat.)■

 ビデオに取ってあった『彼氏彼女の事情』をDVDにして、昼メシにパスタ作って、日記を書いて、PC内を少し整理して、洗濯して、部屋の片づけモノを少しして、ストーブを片づけてたらもう夕方で、なぜか腰はピキピキで一時立つのもツライ状態になってしまった。

 頼まれているサコ研究室のサイト作業は、どうにもモチベーションが乗らずに、相変わらず遅々として進まない。

 夜から相方様宅へ。ピロウズとマーシーとスーパーロボットスピリッツと、ライブビデオ3連続たてつづけで、日本酒4合あけてしまう。例によって倒れ込むように就寝。


■2004/06/11(Fri.)■

 昼休みに会社の近所の定食屋に行った。ここは値段の割にはボリュームがあり、朝飯を抜いてしまってもう午前中は空腹で集中できず、とりあえずなんでもいいからメシ!メシ!というような日にちょいちょい利用している。

 が!!量多いのはええけど出てくんの遅すぎ。食い始めたのが12:40ってどないよ。大あわてでかき込んだわけだが、こういう時にこのボリュームというのが少々うらめしい。食っても食っても終わらない。食後の一服をつける間もなく、小走りで会社に戻った。まるで「昼休み」になっていないではないか。

 夜は夜で、雨に降られてサンザン。先輩が見るに見かねて傘を貸してくれた。僕はあまりチャリで傘をささない人間なんだが、とても親切な言葉で貸してくださったものだからつい慣れないことをしてしまった。慣れない足取りで昨日連絡のあったブックオフへ行き、ピロウズのライブDVDを購入。

 せめてもう少し雨足がおさまるまで……と思って『殺し屋1』を読んでいたら、全巻読破してしまった。そして店を出たら雨は止んでおり、借りた傘は盗まれていた……。明日、どのツラ下げて先輩に会えばいいというのだ。


■2004/06/10(Thu.)■

 昼にブックオフから電話があり、昨日見つからなかったDVDの中身が見つかったという。スゴイのだブックオフ鞍馬口店!

 それはそうと今日は会社の健康診断だった。ほぼ同期の男性社員と、ウダウダいいながらレントゲン、尿検査、採血……と、タライ回しのごとく病院内をウロウロさせられた。検査票をチラチラと見せ合っていると、尿検査の結果が僕ととで一部異なる場所があって気になった。でも専門用語なので、何がどうなのかよくわからない。

 後で知ったのだけど、肝臓から何やら反応が出ているということらしい。ゲゲッと思ってちょっとひるんだのだけど、よく考えたら「前日は呑むな」と言われていたにもかかわらず、昨夜カンビールを1本空けてしまったのだ。まぁこのくらい、という軽い気持ちだったし、ヨッパらうわけでもなく、今朝も至極快調に出社したんだけどな。体感としては無くても、けっこうしぶとく居座っているものなんだな、アルコールってやつぁ。

 血圧を測ってくれたのがオバちゃん看護婦だったんだが、こういうオッチャンオバチャンを目の前にすると、とたんにベラベラとしょうもないことをあれこれ喋ってしまう。今日も血圧測ってもらいながら、どうでもいい雑談をしてしまった。

 なんでだろう、最近50代、60代くらいの人たちがなんだかヘンに魅力的に見えてきてしまう。フシギなのだ。


■2004/06/09(Wed.)■

 ここ3日間ほど、なんだか怒りっ放しの文章なのだ。冷静にならねば。

 相方様が休日だというので、昼休みは家の近所の公園で弁当を食った。ビンボーな相方様は100円だったという巨大な菓子パンをモシャモシャやっていた。オレも貧乏だった頃を思い出す。初夏の公園は、木漏れ日が美しく、いろんな人が涼をとりに来ており眺めていて飽きない。昼の公園というのは大人のスポットなんだなぁ。

 終業後再び相方様と待ち合わせて、同志社本キャンパスの方へメシを食いに行く。精華やO谷と違ってやはりデカい。構内がそのままひとつの町のようだった。食堂のメニューもめったやたらと多くて目移りしてしまった。

 その後鞍馬口のブックオフへ。ここはちょっと前まで「マジカルブレーン」とかいうコミック・ゲーム・CD中古ショップだったのだけど、いつの間にブックオフになったのだろう。それはさておき、ブックオフ特有の、店員のハナに抜けるような「いらっしゃいませぇぇぇぇぇぇぇぇ」が、この店にはなくて実にヨロシイ。意外と文庫本が充実しており、棚の配列も見やすいようになっている。ここのところもう本当にめっきり本と離れてしまっているので、なんかこう、ガシガシと活字を追っていきたい気分でもある。

 DVDコーナーで、ピロウズのライブDVDを見つける。相方様が好きなバンドで、オレも最近ちょくちょく聴いている。こういうところでは滅多に売っていないというので、買っておこうと思ってカウンターに持って行ったら、なぜか中身がない。なんじゃそりゃー!!!

 ちょっと気合いを入れて探してみるということなので、連絡先を託して店を辞したわけだが、去り際に「期待しないでください」というヒトコトを妙に弱々しく吐かれてしまってまいった。


■2004/06/08(Tue.)■

 ヒルメシを食いに行ったら、隣の席のオバハンが「やっぱり服を買い漁るのはストレス解消になるわねぇ」と、ストレスゼロな顔でぬかしていやがった。バカじゃねーのか。

 ちょっと前にカラオケのインタビューなんかでもそういう「ストレス解消」というようなコメントをストレスゼロな顔でいけしゃぁしゃぁと抜かすガキがいたな。

 ちょっと前から思っていたんだけど、ストレス解消とか、おしゃれは必要経費だとか、なんのかんのと合理化して、結局はオノレ欲望を満たそうとしているだけなんじゃないのか。更なるには、そういった極めて非合理的な合理化を盾ににして、こちらに金品を強要してくる人種というのは、まったくどうしてくれようかと思う。

 ハッキリ「シュミです」と言えば気持ちいいのにな。これまで色んな趣味のヒトを見てきたけど、趣味と本気で向き合えば、お金も時間も頭もフル回転で使うから、どんどん魅力的な人になっていく。これはもう本当に心底かなわんなぁ、と思えるステキ人間であり、色々と教わることも多い。もちろんお洒落に関してもそういう心意気やヨシ、という知人がおり、ずいぶんと色んなことを教わった。「今年の流行は白!」なんてくだらないコピーには目もくれない人で、浪人者のようなカッチョ良さがあった。

 まぁ人の文句ばっかり言っていてもアレなんで、僕も言っておくと、読書も映画もお酒も煙草も人と話すのも餃子の王将も趣味です。死なないための必要最低限以外は全て趣味。だから、人に迷惑をかけないように気を付けてやっていこうと思います。

 と、最後だけ善人ぶってみる。


■2004/06/07(Mon.)■

 久々に直帰して色んなコトをやる。フロ、メシ、センタク、自分のサイト作業、サコさんのサイト作業。

 家にいると割とすぐにダラダラ過ごしてしまう僕だったが、最近はそういう時間の過ごし方をしないようにがんばっている。今日もけっこうテキパキやったつもりだったが、フロメシセンタクはともかくとして、あとの2つはどちらも中途半端なまま、アッという間に時が過ぎて気が付くと日付が変わっていた。なんてことだ。

 勤務時間中の7時間はとてつもなく長いのに、帰宅後の6〜7hとなると、なぜにこうまで瞬く間に過ぎていってしまうのか。

 あぁ僕も、帰宅後はボケーッと意味もなくテレビをながめる生活をしてみたい。

 ……ウソです。そんな拷問のような生活を送るなら、レポート50枚書いてる方がマシだ。


■2004/06/06(Sun.)■

 相方様と四条方面へお買い物。

 こうやって、いわゆる「女性向け」の買い物スポットをウロウロすると、いつも思うことがある。企業の利益のために作られた「かわいさの定義」について、世の婦女子の皆々様方は何も疑問に思わないのだろうか、と。今日も、「今年の流行は白!」などと書かれていたので、相方様に「白って流行ってるのかな?」と聞いてみたところ、あれはナントカ流行研究所などというところが独自にデッチあげたもので、そのデッチあげ流行にのっとって、各メーカーはデザインを考えるのだという。ちっとも知らなかった。僕も無知だなぁ。

 ……って話じゃなくて、これってそもそも「流行」の定義からはずれていないか?流行ってのは、世の中の大多数の人が「それ」を受け入れていることじゃないの?つまり、現象が先に立つわけでしょう?そいつをいち早くキャッチした企業や団体が「今年は…」とか言うのなら分かるけど。ナントカ流行研究所は、ぜひ「今年はウンコ色だ!」と言って欲しい。そして世の婦女子どもは軒並みウンコ色の服を着ていなさい。いいですね。

 そんなことはどうでもよくてですね、最近ジェンダフリーだとか、男女共同社会参画法だとかで色々とこういう話題が尽きないみたいですけど、先日養老猛司の『あなたの脳にはクセがある』を読んでいてハッとした一説がある。「しつけ」にまつわるエトセトラなんだが、そもそも「しつけ」とは、放っておいたら「そう」はならない事柄を、「そう」し向けるための行為だと言うのだ。フムフムなるほどと思って続きを読む。だから「男らしく」「女らしく」しつけるというのは、逆説的に言うと、男性は放っておくと「男らしく」ならないし、女は放っておくと「女らしく」ならないからそうするのだ、という話。

 「因習的な“しつけ”の崩壊説」と、「最近男が弱くなった説」がここでガッチリかみ合ったわけですよボクん中で。ヒトのオスは元々はナヨナヨとしたもので、メスはけっこう強かでパワフルな生き物なのだ。そこになんだかよくわからないけど社会的な要請があって、ジェンダー的しつけというものが生まれてきたんだなぁというオハナシ。

 だったら、来るべき夏に向けてアチコチに並べそろえてあるキンキラハデハデチカチカの洋服の類というのを見て「キャー!カワイー!オトメー!」だなんてはしゃいでいるのはまったくオロカなことで、そんなものは所詮世の中の都合によって創作されたフィクションに過ぎないということになる。しかもそれは、企業が儲けるためということもあって、2重に捏造された「かわいさ」なのだ。

 こういうことに気づいた途端、売り場を歩くのがとたんにつまらなくなってしまった。思索というのも危険なものなのだ。今の時代、おもしろおかしく生きる為には、本なんて読んでいてはいけないのである。


■2004/06/05(Sat.)■

 7時、8時の2段階モーニングコールによって強制的に叩き起こされた。昨日の夕食もそうだったが、こういう国民宿舎では食事の時間というのが病院並みに徹底しており、そこに妥協の入る余地はない。休日だというのに昨日に引き続いての早起きである。しかし、前夜にどれだけヨッパらっていても、こうやってうまい米のメシと、ノリとみそ汁と納豆があれば、もういくらでも入るっていうのが不思議だなぁ。

 チェックアウトギリギリの9時半くらいまで滞在して、再び天橋立へ向かう。その名も「天橋立駅」のすぐそばに、つい最近温泉がオープンしたというのだ。

040605_1.jpg 駐車場にクルマをとめて駅方面に向かう道沿いは、昨日の夕方の閉店時刻とはまったく逆で、これからオープンしようとしている店ばかりであった。朝方水揚げしたのか、はたまた市場で仕入れてきたのか、カワハギの類やイカなんかを、洗っては天日に干している光景だ。フト目をやると、ノラネコが棲みついているらしくニャァニャァ言っている。港町の風景だなぁ、と思った。

040605_2.jpg 天橋立温泉は御前午前10時のオープンで、我々が到着したのが奇しくも午前10時。文字通り一番湯である。我々の他には誰もいないので写真を撮ってみたり。なるほどさすがに最近できたばかりというだけあって、まだ白さの残るヒノキ造りの建物がすがすがしい。ひなびた古湯もいいけど、こういうサッパリした新進の湯もいいなぁ、と思う。ここは露天もあるのだけど、日替わりで男湯・女湯のノレンを入れ替えているらしく、残念ながら今日はオトコどもは露天に入れない日なのであった。

 板敷きの涼しげな休憩所でコーヒー牛乳を飲んだ。できれば番台のオバちゃんに「コーヒーギュウニュウ!!!」と元気いっぱい叫んでおもむろに100円玉などを渡したいところだったが、こういうところはもう完全に自動販売機なんだなぁ。

040605_3.jpg 「もう一度天橋立で、今日は歩かずにノンビリしたい」というアッチの希望で、橋立付け根の砂浜あたりでボンヤリとして過ごした。天気も良く、海も空も青くて本当にすばらしかった。僕はずっと京都市内に住んでいて気が付かなかったのだけど、山奥から引っ越してきた連中も、首都圏から遊びに来た連中も、みんな京都は空が広くてイイ、と言う。なるほど確かに建物の高さ制限があるし、盆地、と言う割にはそこそこの広さはあるしで、空を見渡す分には充分な広さがあると思う。しかしやっぱり、水平線の彼方まで広がる空にはまったく太刀打ちできないんだなぁ。

 昼頃までそこでタラタラと過ごして、帰路につくことにした。実はexit君が、今日の午後2時から京都市内で何やら用事があるそうなのだ。しかしこれからヒルメシも食うのに、そんなの絶対間に合うわけがない。間に合うわけがないのに、アッチは一般道をビュンビュン飛ばすものだから、クルマに慣れていない僕はもう生きた心地がしなかったのでした。

040605_4.jpg 舞鶴まで戻る途中に、確か海鮮丼の店があったなぁということを誰ともなしに思い出して、めざとく見つけて直ちに突入していった。店内中心部に巨大な漁船がしつらえてあり、それがそのままイケスとして活用されている。なかなか大胆な内装なのだ。すかさず、各々海鮮丼やゲソ丼などを注文する。隣の席では、やはりザルに盛られた魚介類を炭火で焼いて食っていた。この辺の名物なんだな。しかし店内いたるところでもうもうと立ちこめるケムリにはまいってしまった。

040605_5.jpg モリモリと海鮮丼を食って店を出たら、すぐそばの茂みからどうやら眼下の海に下りられるようなので、決死のクリフハンガーよろしく、ガケを下りてみた。そこは砂浜ではなく岩場のようになっており、巨岩が立ち並ぶ。海の水が透き通っていて、本当にキレイ。加茂川の上流の水も非常にステキなんだが、海の水の透明感というのはまた違う。

040605_6.jpg そしてまたスバラシかったのが空の青さです。これ、フォトショップでベタ塗りしたんじゃないですよ、空の写真です。快晴!!

 昨夜呑んだサケがあまりに旨かったので、もう一度ハクレイ酒造に寄りました。昨日あれこれ話したオネーサンにまた会えることを期待したんですが、店に入ると昨日はいなかった初老のオバチャンが出てこられて、僕らは早急に目的のものを購入してそそくさと退散したのでありました。我ながら分かりやすい行動規範だなぁ。

 帰りは、これまたaiko熱唱で走り抜けました。やっぱり一番気の合う3人とは言え、27・8年も生きているとやはり色んなところで重ならない部分というのは多々ありまして、今回も色々とCDをとっかえひっかえしたんですが、なかなか3人まとめて楽しめるBGMというのはありませんでした。あ、唯一exit君の持ってきた、何やらワールドミュージック系のCDで、「アッ……オッ……」という謎の掛け声が妙にツボにハマり、帰路後半はほとんどそれのヘビーローテーションでした。アッ……!!オッ……!!

 京都駅でレンタカーを返す。結局最初の契約よりだいぶオーバーしてしまい、電車代と比べてどうにかギリギリ安くついた、という感じ。予定より大分遅れてしまったexitくんと素早く別れて、僕とアッチの2人で京都駅ビルの裏手にあたる広場というか通路のようなところに陣取って、さきほどハクレイで買ってきた純米酒を開ける。地下街で何かツマミを買ってくれば良かったのだけど、2人とももうとても歩き回れる余力は残っておらず、あると言えばアッチのカバンから出てきた、今日の朝食の味付けノリが1袋だけ。

 まぁそれでも2人で呑んでいると4合なんてアッという間で、すっかりゴキゲンになった2人はポルタへ向かい、そこで盛りソバなんぞをズズズッとすすって、そそくさと帰路についたのでありました。

 元気づけるつもりが長距離の運転手なんかを頼んでしまったわけで、かえって随分疲れさせてしまったような気もするが、少しは元気になったのかしら。


■2004/06/04(Fri.)■

 有休は取ったものの、ハテどうするべぇかと、昨夜はメッセンジャーと携帯メールを駆使して3人で相談していた。誰だったか忘れたけど「丹後…」の一言に、衆人「それだ!!」と乗る。なんだかお疲れ気味のアッチには、ウチでゆっくりダラダラと呑んでてもらっても良かったのだけど、なんとなく有休取ってまで3人休みをそろえてアパートで呑むというのもなんだかなぁ、と思い、何かちょっといつもと違うことをしてみたかったので丁度良かったのだ。

 電車賃を調べてみると案外かかるもので、3人移動ならレンタカーの方が安いのでは、という結論に達し、9時に京都駅八条口に集まる我々。ペーパードライバーのexit君と、免許のない俺ということで、主賓なのに運転手をやらされるアッチには、なんだか申し訳ない気分だった。

040604_1.jpg 借りた車はカーオーディオがカセットしか無く、けっこうみんなCD持参で来たというのになんだか寂しいスタート。だもんで、桂の西友に寄り、ポータブルCDからカセット型のダミーにつながっているアダプタのようなものを購入し、万全整ったところで仕切直しとなった。金曜日午前中の京都縦貫道は驚くほどガラガラであり、「ロケットマン」を聴きながら爆笑で北を目指す。

040604_2.jpg 丁度昼頃に福知山に到着、駅弁キャンペーンを進行させるべく、福知山駅に行って弁当を買った。駅からクルマで5分ほどのところに福知山城があり、城下の公園のようなところでモリモリと食う。ついでに城も見て回ったんだが、ここにある井戸は、城郭用の井戸としては日本で一番深いらしく、地表から50m、海面下7mにも及ぶのだという。でも、あくまで「城郭用」という条件付きなわけだから、これよりスゴイ井戸というのは他にもけっこうあるんだろうなぁ。

040604_3.jpg 帰りに公園の石畳部分を見たら、どういうわけだか龍の絵柄が施されてあった。ご丁寧に六星球まで持っている。「シェンロン!!シェンロン!!」とわめき散らしながらパシャパシャと写真を撮る。しかしなんで六星球なんだ?

 助手席でナビをしていたので、けっこうずっと地図を眺めていたのだけど、西舞鶴に「とれとれセンター」という、もう名前だけでかなり魅力的な施設があることがわかった。「アッチ、とれとれセンターやって……」と言うやいなや、彼は軽く、しかしなにやら確信に満ちた口調で「行っとこ」とキッパリ言ってアクセルをふかした。

040604_4.jpg とれとれセンターは、舞鶴道の駅の愛称のようなもので、近隣の魚屋や漁業関係者が、観光客向けに海の幸を提供している施設のようだった。が、コレ絶対地元人なら通うでぇ!というような充実した品揃えで、しかもビックリしてしまうくらい安い。そして、買った物をその場で調理して食わせてくれるというのも一つの特徴のようだ。どうやらこの近隣では、ザルに一盛りの魚介類を「海鮮バーベキュー」と称して炭火で焼いて食わせる、というのがひとつのスタイルらしい。そこまでハラが減っているわけでもない我々だったので、アッチがホタテ1ヶ・僕とexit君とでホッケを1枚焼いてもらった。

040604_5.jpg 040604_6.jpg
ホタテ
ホッケ

 スバラしかったです。脂ノリノリで皮はパリパリ、身はホクホクのホッケ。運転者のアッチにあわせて、我々もノンアルコールで挑みかかったのだが、コレはむしろアツアツの白ごはんが欲しい!と。何杯でもイケますコレがあれば。

 せっかくだから何か買って行こうということになり、ハマチを1本つぶしてもらった。これで680円というのだからオドロキである。ついでにアオリイカも刺身にしてもらった。こちらは850円。京都のスーパーで数切れ入った刺身のパックが580円だなんてのを思い出すと、もうバカバカしくなってしまう。1匹まるごとですよダンナ!?保冷剤を詰め込んだ発砲スチロールの箱もサービスしてもらい、意気揚々ととれとれセンターを出発。

 予約しておいた宿が目と鼻の先あたりになって、アッチが「そういえば、この辺に酒蔵がある」と言い出して急遽そっち方面に寄り道することになった。酒蔵、と聞いてぼくは急速にイヤな予感がした。何しろつい先日岡山で「休館日!!」というショッキングな出来事に遭遇したばかりなのだ。しかし果たして丹後のハクレイ酒造は、バリバリにオープンしており、よっしゃよっしゃと僕らはヒザを叩いて喜んだ。

040604_13.jpg 伏見の月桂冠や黄桜のような大手酒造メーカーは、見学施設と、実際に作っている工場はまったく別のところにあったりするのだけど、こういう地方の零細酒造メーカーは、本当にそこで作っている様を出来る限り見せてくれたりして面白い。このハクレイ酒造でも、「醸造中につき関係者以外立ち入り禁止」と書かれたドアがあり、「この向こうで…!この向こうで…!」といたずらに興奮する心が止まらない。

 直売をやっている売店のような所にも行ってみた。入り口のところに「酒談義承処」と書いてある。ウケタマワッテもらおうじゃないか!!と、意気揚々とドアをくぐった。客は僕らだけで、ひんやりとした木造の雰囲気が心地いい。試飲もさせてくれるということだったのだが、運転手アッチのことを思って躊躇していると、「キミに任せた!!」という彼の力強い一言。美しきかな師弟愛。「もうワシから教えることは何もない。あとはお主の心が決めるままに、身につけた技を世のため、人のために役立てるのじゃ!」と、俺にはそう聞こえた。やってみます師匠!!

 現在取り扱っているサケを一通り飲ませてもらって、懐具合とも相談して四合ビンを1本購入した。ここのオネーサンはなかなかトークの上手い人で、試飲というか、ほぼ普通の呑みのようにワァワァ話しながら呑んでました。で、「お姉さん的オススメの1本!てぇのはどれですか?」と聞いてみたところ、

「……実は、アタシ焼酎派なんです。だから、普段はあんまり日本酒って呑まないんですよ」

 いいのかそれで!!しかし、地方零細酒造メーカーに勤める、なぜか焼酎派の女。コレはコレでなかなか魅力的だなぁ。

 ようやく宿に到着。国民宿舎丹後由良荘。ガキの頃に連れて行ってもらった旅行というのは、たいてい国民宿舎とか国民休暇村だったのを思い出す。そういえばどこへ行ってもこんな雰囲気のトコロやったなぁと。貧しかったんだなぁと思った。俺の給料程度で、しかもなんの準備もなく思いつきで泊まれてしまうようなところだったんだなぁ。親父は、こういう宿を一生懸命探してきては、俺を海水浴や温泉に連れて行ってくれてたんだろう。

 チェックインして、貴重なサカナを日陰に安置して、天橋立に出発。なかなかにハードスケジュールなのだ。宿を出て、北タンゴ鉄道の踏切を渡った瞬間、アッチが「来てる!!!!」と絶叫して突然クルマを止めて運転席を飛び出そうとしている。え、何が来てんの?と振り返ったら、後部座席にはもうexit君はいなかった。どうやら、踏切から100メートルほどのところにある駅に電車が止まっていて、今まさにこの踏切を通過せんとしているところらしかったのだ。しかし、exitくん速すぎ。アッチが「来てる!!」と叫んだ時にはもうドアノブに手がかかっていたんじゃないのか。でまぁ、俺もブラブラとクルマを下りて、3人で踏切でカメラを構えたりしてたわけですよ。

「鉄ちゃんかよ……!!!!!」

040604_7.jpg いやホントそう思いましたね俺は。夕暮れ時に、地元ローカル鉄道の踏切(まわりは軒並み田んぼ)で、カメラを構える男三3人。これはどこからどう見ても鉄ちゃんなわけです。でもまぁ、3人ともなかなかにキレイな写真が撮れました。

040604_8.jpg さて、夕暮れ前の天橋立は、食堂も土産物屋も閉店の時間になっており、なんとなく閑散としている。桟橋のようなところがあって近づいてみると、これはまったく、映画『ディスタンス』そのままやないかい、というような風景を見つけ、思わずシャッターを押してしまった。しかし『ディスタンス』と言っても誰も分かってくれないのが悲しい。キミらももうちょっと邦画観ておくれよぉ、と思った。

 観光客は軒並み帰ったあとだったが、部活帰りの高校生とか、夕方のジョギングおじさんといったような、地元の面々が次々と天橋立を通過していく。ここは観光地でもあり、公園でもあり、立派に通学路でもあるんだなぁ。そう思いつつブラブラと歩いていると、1人の女子高生が、自転車で浜辺に乗り付けたかと思うとテケテケと水際に歩いて行き、何をするというわけでもなく浜でたたずんでいる。あぁもう、こういう風景に弱いですよ俺は!!

040604_9.jpg 天橋立は、ノンビリ歩いていると結局対岸まで渡りきるのに1時間くらいかかった。スタート地点と反対側にあたる、橋立の付け根でしばらくの間ボケーッとしてすごした。浜辺にカモのような鳥が座っていて、僕が近づくとあわてて海に入ってグワグワと沖の方へと去っていってしまった。しばらくそいつを眺めていて、フトふりかえると、アッチとexitくんは石垣に座り込み、夕日に向かって青春していた。

 ボケーッとしたり青春したりで、つい時のたつのを忘れてしまったが、気が付くと宿の夕食の時間が迫っていた。いっぱしの旅館とは違い、国民宿舎はそのあたり厳格なのである。あわてて元来た道をたどり、クルマへと向かう。しかし、来る時に1時間近くかかったのだ。我々はけっこう人より歩くのは速い方だが、いくらなんでもちょっと間に合わない時刻にさしかかっている。気が付くとアッチが走り出していた。引きずられる形で僕とexit君も走り出す。ちょっと待って、こんなところでいきなりジョギングするとは思ってなかったっす。

 高校の時、体育の持久走でアッチと僕はよく記録を競いあっていたのだけど、あの日々はどこへやらという感じで、まったく運動不足の僕はとうとう天橋立を走りきることができず、途中で少し歩いてしまった。しかし距離にしてたった3.8キロなのだ。4キロ弱も走れない体になってしまったのか俺は!!あまりと言えばあまりの事実に愕然としてしまった。

040604_10.jpg 3人して汗だくになってしまったのだが、とるものもとりあえずクルマに乗り込み、宿へと走る。途中、水平線に落ちていく夕日がとてもキレイだった。京都市内に住んで27年、けっこう京都という街は気に入ってるんだが、夕日が水平線に落ちないのはちょっと残念だなぁといつも思う。山から出てきて山に消えていくんだもんなぁ。

 宿に戻って、案内された食堂に行くと、夕食を食っていないのは我々だけのようであった。けっこういろんな料理がところせましと並べられていたのだけど、我々にはこの後、昼間とれとれセンターで買ってきたハマチとアオリイカが待っているのだ。ここで腹一杯になるわけにはいかない……などと思いつつつい完食してしまった。お残しはゆるさないヨ!!

 とれとれセンターで、魚屋のオッチャンに、我々は旅行者であること・ゆえに今夜は調理器具を持っていないことなどを告げると、宿で包丁1本くらいなら貸してくれるから、最後にスライスしたらいいだけ、というところまで捌いておくね、と教えてもらった。夕食後早速宿の人に包丁を貸してくれまいか、と頼んだところ、なんと調理場で我々がやってさしあげますよ、ということでお願いしてしまった。サービスで大量のワサビまで付けてくれてウハウハなのだ。

040604_11.jpg そいつを部屋に持って帰って、exit君が持ってきてくれたプレステ2をつなぐ。ハクレイ酒造で購入した純米酒を封切り、ハマチとアオリイカを肴にして座はたちまちのうちに『Xi』大会へとなだれこんでいった。

040604_12.jpg さんざん遊び倒した揚げ句、夜は結局ウチのアパートで呑むのとあまり変わらないスタイルになってしまったのである。『Xi』は2人対戦のパズルゲームで、当然ながら1人余ってしまう。そいつはまぁ傍観者ということで、対戦している人間のうち、勝った側と交代する、というルールにした。つまり、勝負に勝てばゆっくりゲームを見ながら酒が呑める、というわけなんだが、初めて『Xi』をやるというexit君は、いつまでたっても勝利をモノにできず「オレぜんぜん呑めへんやんけッ!!」とプリプリしておりました。

 さて、明日はどうなることか。


■2004/06/03(Thu.)■

 昼休みに1人で行動するようになって半年以上になるが、会社近隣の店は行き尽くしてしまい、安くて早い大谷大学は、最近学生がイッパイでやたらに騒々しく、それはそれでいいんだけど僕の好みからは、ややハズれつつある。

 最近のお気に入りは船岡山公園で、これは会社からチャリで10分ほどのところにあり、途中のパン屋でパンを買って出向くわけである。真昼の公園は、幼稚園にあがる前あたりの子どもを連れた若い母親とか、ホームレスのオジさんとか、僕と似たようなサラリーマン男女とか、いろいろな人がいて面白い。

 船岡山公園には、知ってる限りで3匹のネコが棲みついており、パンをかじりつつ指先でちぎりとったヤツを放り投げてやるのも、また楽しみの一つである。やたらに食い物をやると、公園管理事務所の方から苦情が来そうでもあるが、まぁそうなったら「ゴメンナサイ」とひとこと言ってすみやかに立ち去るつもりではいる。

 しかし、良く晴れた梅雨一歩手前のヒルドキに、こうやってネコどもと一緒に人間観察できるというのは、つくづく贅沢な時間だなぁと思う。本当は、もっと会社の人たちとコミュニケーションしなきゃいけないんだろうなぁと思いつつも、こういう場所を発見してしまうと、ついつい楽しい方に足が向いてしまうんである。しかし、気に入ったからといってあまりに足しげくかよっていると、たちまちのうちに飽きてしまうことは、これまでの経験でわかっているので、できるだけまんべんなく回れるように、日々「お気に入りヒルメシスポット」を開拓する毎日なのであります。サラリーマンは大変だ。

× × ×

 昨日の日記で「サスペンスドラマが問題だなんて、萎える」というようなことを書きましたが、殺った本人が「せんだってのサスペンスドラマを見て、決行を決めた」と自供しているそうですね。そういうわかりやすい事例もあるのだなぁ。もっとも、まだガキの言ってることなので、じゅうぶん懐疑的に見る必要はあると思うんですけども。


■2004/06/02(Wed.)■

 久々に早く帰宅したら、exit君よりメール。「昨日話してたサイトのアドレスを送ります」とあったので、早速開いてみたが、そんな話をした記憶は皆目残っておらず、僕もけっこう酔っていたんだなぁと思う。

 でまぁ、送られてきたURLは電車男のまとめサイトなんだけど、ついつい読みふけってしまい、気がついたら21:00。

 ちょっと遅いが、大家宅へ家賃を払いに行く。引っ越す前は、共益費なんて請求されなかったんだが、どうやら新居は色々と勝手が違うようで、廊下の電灯の電気代を請求された。夏場は80円。冬場は100円だそうな。ひょっとしてこれが共益費ってやつか!?すごい額だ。

 大家のじいちゃんはなんだか今日は妙に饒舌で、佐世保の女児殺しの話なんかを振ってきて「テレビが悪い!」とかムフーと鼻息を荒くしていた。とにかくわけもわからずテレビ嫌いの僕としては、いいぞいいぞ、と思って聞いていたら、「すぐに人を殺すサスペンスドラマが問題や……!!」とか言い出してちょっと萎えたんですけどね。そういう問題なのか?と。もうちょっと、テレビというメディアが持つ、本質的な問題に切り込んで来るのかと思ったんだが。

 しまいには「ヒマやったらあがっていきなさい」などと言われる。丁重にお断りしてフロいきました。

 引っ越しの関連でずっとネットが停滞していた相方様だが、本日めでたく開通したらしい。オメ。これで、日記更新のためにウチへ来る必要もなくなったわけだ。ますますウチから足が遠のくんだろうなぁ。


■2004/06/01(Tue.)■

 アッチが岡山から帰ってきてなんだか元気がない。突然おかしなことを口走るようになり、自ら「鬱だ」とも言ったりする。彼の場合、こういったことに前例がない(少なくとも僕は知らない)ので、いったいどうしたらいいのかよく分からない。

 岡山での一日目夜に、かなりヒートアップした議論の中で、お互いに今まで吐きだしていなかった考えを白日の下にさらけ出すというようなことがあり、もしかしてその時の僕の発言の中に何やらいささかマズいものがあったのかなぁとも思い、心配してしまう。

 終業後、exit君と待ち合わせて上海航路に行き、「どうしたらいいのだ」と、色々と話し合った。が、僕だって断片的なことしか分からないくらいなのに、exit君にいたっては「え、彼ゲンキないの?」という具合で、まったく建設的な目論見は生まれず、まぁとりあえず今週金曜日にワシらが有給を取れば、3人で連休が揃うことになるから、あとはその後考えようということになった。

 さて、上海航路であるが、ご期待通り古ぼけてひなびた感じの呑み屋であり、心くすぐられることしきりであった。ツマミも、シシャモとか、ししとうとか冷奴など、実にシンプルで潔い。そこでビールを2本ほど空けた。exit君は、しきりにマスターに対して「すいません……、こういうとこ、慣れてなくて」と謝っていた。別にそんないいわけはしなくてもいいと思うのだが、恥ずかしながら僕もなんとなくケツの座りが悪いものを感じたのである。まだ陽も高く、酔客が席をにぎわせると言うには幾分早い時間帯ということもあり、カウンターには常連とおぼしき男が1人、7時のニュースを見ながら陰気に呑んでいた。そこで、「最近鬱だ」という友人の対策案などを真剣に練っていると、ますます店内は陰気になり、もう我々は「有給取るぞ」という結論に達した段階で素早く店を出てしまった。やはりこういう店できっちり大人の呑み方をするには、僕らは人生経験が浅いようだ。我々が、ホントの意味で、「深い」オトナになれる時が来るまで、ぜひがんばってほしい、上海航路。

 最近ウロウロするようになった西陣に「ギギギ」という一風変わった店名の呑み屋があるので、そこへ席を移すことにした。ギギギは、だだっ広い板張りの間に、ムゾーサに座机が配置してあり、なかなか良い雰囲気だ。僕は八海山を頼み、exit君は譚高譚を注文した。家がほど遠くない相方様も急遽参戦で、色んなことを話した。

 exitくん曰くなんだが、彼はビール2杯と、焼酎1杯、というのが外呑みでのリミットなんだそうだ。その時点でかなり意識は朦朧としてきて、速やかに睡眠体勢に入ってしまうとのこと。上海航路ですでにビールはやってきているので、今呑んでいる譚高譚が最終リミットなはず……と思って見ていると、本当に柱にもたれてグースカやりはじめたので驚いた。

 すかさず手持ちのペンでオデコに「中」と書き、何事もなかったかのように彼を起こし、お開きとした。



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